注文住宅のすべてが大変かというと、そうではありません。建築家にデザインをまかせることができれば、そこまで大変でなくなるのではないかと予想しますが、建築家に住宅の設計を依頼する方の多くは家づくりがずっと夢だったいう方です。本当に大変なのは、自分の理想の家をつくることなんだと思います。
前回のブログで、注文住宅での家づくりが大変な理由に情報の氾濫を挙げました。
自分の理想の家をつくるために、最近ではイメージの収集から始める方が多いでしょう。SNSアプリのピンタレストやインスタグラムで、サクサクと簡単に集められます。また、それらを共有することもできますので、設計士に自分の理想の家のイメージを伝えることが、本当に簡単になりました。集めることはそれほど苦労は無く、むしろ楽しいものだと思います。問題は情報があり過ぎることです。情報があり過ぎることで生じる問題をあげてみました。それと、それに対する心構えも。
- フォトジェニックなものに目がいってしまう。→目に付くイメージのほとんどがハイレベルな建築。まねるのは難しい。
ネット上の膨大なイメージのなかで、目がいってしまうものは、かなりハイレベルなデザインだと心得ましょう。まねるのはコスト的にも技術的にも難しいものが多いです。なかには、構造や性能を無視したものがあり要注意。このデザインが欲しくても、それ通りにできないことのほうが多いことを理解しましょう。
- 設計者にイメージの提示をもとめてしまう。→既存のイメージにないものをつくろう!
イメージを集めていると、欲しい空間のイメージに出会うことがあるでしょう。しかし、空間のイメージは単体商品のように買い物で簡単に手に入るものではありません。そこで、建築者にこれからできるものと近しいイメージのものの提示をもとめてしまうケースがふえています。基本的に設計者は自身の作品から、参考となるものを提示しますが、ネットの情報にくらべれば、量も、質や精度もかないません。従来、これからできるもののイメージはパースや模型で表現され、足りない部分に関しては、想像力で補ってもらっていました。それでは安心できず、設計者にもネットからイメージを探すように求めるのは、行き過ぎた要求のように思います。それは、他人のふんどしをはいてくださいと言っているようなもの。そのような要求は設計者との間に軋轢生じさせます。これからできるものは、もしかすると既存のイメージにはないものかもしれません。そういったものに期待できるような遊び心も持ちましょう。
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